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線が混じる

※線を越えるの続きです。凜一さんが師匠、千迅さんが弟子の年齢逆転パロです。    未央柳が咲き誇る初夏となった。今年も御殿山の庭には可憐な黄色がひしめいている。凜一は父の好んだこの花が絶えることのないよう、殊のほか手塩に…

線を越える

※直弟子の英千迅(18)×若先生の原岡凜一(31)の年齢逆転師弟パロです。千迅さんが中学三年生の頃から始まります。   凜一がその花を見たのは、家元である祖母と中国地方支部の華道展の視察に行ったときのことだった。その華道…

ふたり暮らし

※このお話は池畔の家で同棲する異母弟のifストーリーです。千迅さんが京都に在住している設定のため、千迅さんはお医者さん、千尋さんはK大の大学院に進学したばかり、凜一さんは中学生です。   ◇ 当直を終えやっとの思いで千迅が帰宅した…

入れ替わる

異母兄弟入れ替わりパロです。氷尋前提の氷迅(尋)のお話です。

青嵐

 凜一が自分と同じ類の人間だということに、千尋は随分前から気が付いていた。しかし年端のいかない凜一がそれを自覚しているはずもなく、せめては道の誤りに気がついたときに手を差し伸べられるよう、千尋は心密かにこの甥っ子のこと案じていた。 その等間…

春の夢

氷尋です。好きとも言わず始まり、さよならも言わず終わる恋に似た何か。

はないちもんめ

※このお話は尋迅です。  ◇  千尋は溜息をついて高井戸のマンションの部屋を訪ねる。ただいまとリビングに入れば、帰ったのかと意外そうな異母兄の声が返ってくる。ソファに座ったまま、千尋の方に顔を向ける。「今日は御殿山に泊まるんぢゃな…

キャンディ・キス・チャレンジ

「学生の間で流行っているらしい、」 正確に云うと学生のカップルの間で、らしいが。そう云って大学で講師を務めるこの叔父はどこか人の悪そうな顔をして凛一の前に立っていた。凜一は夏期休暇を利用して叔父の借りる池畔の家に遊びに来ていた。「面白そうだ…

紫色の朝

※こちらは『彼等』の千迅さんの台詞の中でだけ登場する、千迅さんの予備校講師時代の同僚氏とのお話です。     ◇ どうしてこうなったのか解らない。 英とは元々、勤務先の予備校の同僚だった。私立文系コースで英語を担当する俺とは異なり、国公立の…

夜の底

 雲に遮られてなお白銀の光は夜天を明るくしていた。満月の光は柔らかくも輝きが濃い。雲は月光によって生じた影のように薄暗く、丸い月に寄り添っていた。「……んっ……、」 静かな夜陰に吐息がこぼれる。苦悶に似た声は痛みを堪えるかのごとく喉元から絞…