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夜の底

 雲に遮られてなお白銀の光は夜天を明るくしていた。満月の光は柔らかくも輝きが濃い。雲は月光によって生じた影のように薄暗く、丸い月に寄り添っていた。「……んっ……、」 静かな夜陰に吐息がこぼれる。苦悶に似た声は痛みを堪えるかのごとく喉元から絞…

キス、初めての

 ※千迅さん中2、千尋さん小5の設定です。  離れて暮らす兄がいる。兄は海辺の町で兄の父とふたりで暮らしている。海辺の町は子どもだけでは行くことのできない遠い町なので、千尋が兄に逢えるのは学校の長期休暇のときだけだった。 兄は寄せ…

落葉

※千迅さんの実父の小椋氏と養父の英氏のお話です。お話の展開上、英氏は栖二(せいじ)、小椋氏は壱彦(かずひこ)、千迅さんのお母さんは葉月としています。もしかして親世代はこんな関係だったのでは……という妄想です。 「ハオチル」 知らせ…

名前を呼んで

こちらのお話は以下のやりとりから発生したお話になります。かまくらさんにはネタの使用と掲載の許可をいただいています~!https://twitter.com/midori_643/status/1623611083281006592?s=20…

ぬくみず

温泉旅行に出掛ける学生迅尋のお話。R18の内容を含むため閲覧は成人済の方に限ります。成人済ですか?yes/no