text

紫色の朝

※こちらは『彼等』の千迅さんの台詞の中でだけ登場する、千迅さんの予備校講師時代の同僚氏とのお話です。     ◇ どうしてこうなったのか解らない。 英とは元々、勤務先の予備校の同僚だった。私立文系コースで英語を担当する俺とは異なり、国公立の…

夜の底

 雲に遮られてなお白銀の光は夜天を明るくしていた。満月の光は柔らかくも輝きが濃い。雲は月光によって生じた影のように薄暗く、丸い月に寄り添っていた。「……んっ……、」 静かな夜陰に吐息がこぼれる。苦悶に似た声は痛みを堪えるかのごとく喉元から絞…

キス、初めての

 ※千迅さん中2、千尋さん小5の設定です。  離れて暮らす兄がいる。兄は海辺の町で兄の父とふたりで暮らしている。海辺の町は子どもだけでは行くことのできない遠い町なので、千尋が兄に逢えるのは学校の長期休暇のときだけだった。 兄は寄せ…

落葉

※千迅さんの実父の小椋氏と養父の英氏のお話です。お話の展開上、英氏は栖二(せいじ)、小椋氏は壱彦(かずひこ)、千迅さんのお母さんは葉月としています。もしかして親世代はこんな関係だったのでは……という妄想です。 「ハオチル」 知らせ…

名前を呼んで

こちらのお話は以下のやりとりから発生したお話になります。かまくらさんにはネタの使用と掲載の許可をいただいています~!https://twitter.com/midori_643/status/1623611083281006592?s=20…