伝成

熱情

月の明るい夜だった。広縁に腰掛けた伝九郎はぼんやりと夜空を見上げていた。「どうしたんだ伝九。物思いか」 奥で書き物をしていた成信は、一区切りがつくと伝九郎の傍に侍った。伝九郎は成信が傍らに来ると、にかっと顏いっぱいに笑って喜んだ「もう書き物…